コラム


アナログディスクを聞くために!

[いま、なぜMCカートリッジか?]
音を聞く、情報を聞く、見る、伝える、記録する、交換するなど、デジタル技術があればこそ叶えられる便利な時代になりました。
こと、オーディオの世界に於いても、手軽に良質の音楽再生が楽しめることは、このうえなく有難いことであり、大方はその恩恵にあずかっています。今や誰もが携帯プレーヤーを持ち、あるいはキーボードを叩いて、デジタル・エイジを謳歌しています。
そう!デジタルこそが時代の寵児と言われる所以がここにあるのです。
そんな時代にマイソニックラボは、とかく不確定要素の多いアナログディスク再生になぜ情熱を傾けるのか…?。もちろん明快な答えなどないし、無理な説明などするつもりもありません。敢えて言うなら、40年以上の永きに亘ってアナログディスクに親しみ、それを再生するという立場を生業として来たからであり、そのなかで達成できなかった問題点の積み残しがあったから、と言うことになります。
一方、日々進化するデジタル技術に付いていけないから…!と言うのも理由の一つかも知れません。
ところが、この全てに優れた技術的要素を持っていたはずのデジタル技術でも、アナログ時代に培われた技術的な燃焼度や芸術性に於いて、失われたものも数多く指摘されているのです。
今や、時代を超えて積み上げられ、残されて来た厖大な量のアナログディスク!その、ほんの一部ではあっても、改めて聞き直してみると、何十年も前に演奏され録音された音源に感涙し、少なからず再発見することの多さに気付かされるからでもあります。
しかし、そこにはデジタル技術の登場によって促された周辺機器の発展により、新たに気付かされたに違いない…!と思うことも多いのですが…。
こうした時代的背景にも後押しされて、その再生技術もまた進歩しているのだと思います。
そんななかにあって「マイソニックのできること」とは、その貴重なディスクを聞くための、未達成の技術を探ることではないか…?と考えます。
LPレコードがほとんど製造されなくなった現在、カートリッジの部品も先細りを余儀なくされ、また、手先の仕事に頼らざるを得ないカートリッジ作りに取り組むのは、残された文化遺産でもあるアナログディスクの底知れぬ可能性を垣間見るからです。
他人(ひと)の言葉を借りれば、「美は人を沈黙させる…!」と言います。そこで思ったのです。人を沈黙させるために、残された文化遺産におおいに語ってもらおうではないか…!と。
幸い永年を費やして辿り着いた「磁性材料=SH−μX」によって「Eminent」の完成を見ることができました。理想としながら誰も実現することのできなかった世界に一歩踏み込みこむことができたのです。
しかし、これも終着点ではなく、さらに発展させるため、未だ探らなければならない課題があるはずです。それが、さらなる「低インピーダンス/高インダクタンス/位相特性の改善…。そして出力エネルギーとのせめぎ合い」です。
そのための取り組みに「終りはない」と考えて、MCカートリッジの研究を続けているのです。